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妄想散歩その①〜ニューヨーク気分で

熊本の街の真ん中を
阿蘇の白川水源にはじまり有明海にいたる一級河川「白川」が
ゆるやかな蛇行を見せて流れています。
いったいいくつの橋が架かっているかは知りませんが、
少なくとも街の中心部を流れる上には
全部で12基の橋が架かり、
右岸左岸行ったり来たりの車で常に混んでいます。
けれどそんな中で一基だけ、
小さい上に一方通行なので車に嫌われているのか
すかすかの橋があって、
そこにいるのが好きなのです。
気が付くとしょっちゅうそこに来ているのです。
用もないのに来てしまいます。

1月20日発売の雑誌「クウネル」で
“吉本由美のふるさと案内”というページをもらい
熊本の街のお気に入りスポットを紹介しているのですが、
当初はこの橋もリストに入れていました。
でもあまりに個人的すぎるかと思い取り下げたものの、
ちょっぴり心残りがあり、
時間と共にその心残りが煮詰まってきたので、
ここでその橋のことを紹介させてください。

昼間のあんせい橋

橋の名前は安巳橋(あんせいばし)。
安政四年(1857)に架かったので初めは安政橋だったのが、
万延元年(1860)に安巳橋と改められた・・・
と石碑にありました。
見た目なんてこともないありふれた橋ですけどね、
なぜか、
ここを行ったり来たりするのが好きなんですよねえ。
私は敢えてゆっくりと
お能のにじりで歩くので2,3分はかかりますが、
普通のテンポで歩けば1分もかからない小さな橋です。
車が少ないので
橋の上にはいつもきよらかな風が吹いています。
人と自転車がのんびり行き交い、
犬の散歩も多いですね。
隣に大甲橋という
車も電車も自転車も人もわたるメインの橋があるので、
多くはそこに集中し、
それでこちらは混雑を免れているのかもしれません。


10年くらい前まで
白川べりは帰省したときのジョギングコースでした。
川の匂いを含んだ風に後押しされながらのジョグは気持ち良くて
実力以上に距離が伸びました。
街中までの3キロほどの川辺を
左岸に行ったり右岸に戻ったりしながら走り、
大甲橋を越えて安巳橋まで行くとUターン。
合計6キロ強のコースです。
たいてい戻る前、安巳橋でひと休みしました。
水色の欄干にもたれ川上に目をやると、
天気のいい日は流れの遙か向こうの空に
阿蘇の青い山脈が薄っすらとですが望めます。
すると心がぱああっと広がっていく。
鬱屈していた思いが
阿蘇という大きな吸い取り紙に吸い取られていく。
つい「やっほ〜〜〜」と叫びたくなる。
地方に生まれた特典のひとつを甘受する瞬間と言いますか。

その頃走り抜けていた大甲橋手前の白川右岸は、
楠、桜、椿の巨木生い茂る鬱蒼とした緑地帯で
走っていていちばん盛り上がる区間でしたが、
知らない間に整備され、
味気ないコンクリートの遊歩道に変わっていました。

白川右岸緑地


途中の船着き場に下りる石段のまわりには
餌をやる人が来るらしく鴨や鷺などの水鳥が集まっていましたが、
今は姿もありません。
ここには(何かのまちがいで)鴨のつがいを親と思い込み
長年連れ添って暮らすアヒルがいたのですが、どこへ行ったか。
向かいに見えるかつては野趣たっぷりだった岸辺も
補修工事で跡形もなく消えていました。

左岸工事中


でも安巳橋は健在です。
大甲橋を渡り向こうに空色のアーチを眺めながら、
橋は右に向かって入るのが好きなので、
左岸をゆっくり下って行きます。
時は薄暮が最高ですね。
空にはまだ明るさが残り、電灯が薄っすらと灯る頃。
熊本市は数年前、
節電対策のために
街灯を白い蛍光灯から数段暗い橙色の明かりに総取っ替えしたのです。
だから夜の熊本は大正時代みたいに薄暗くしっとりしていますよ。
それは賛成する点ですが、
どこもかしこも橙色になってしまうと、
人間って勝手なもので、
今度はあれほど嫌っていた白い光が新鮮に思えてきます。
特に安巳橋の小さな丸い白い光には
こんなおばさんでもロマンチックな気分にさせられてしまいます。

左岸から見たあんせい橋


さて、橋に入りました。
ここいらから気持ちがうきうきしてくるんだなあ。
ウディ・アレンの映画にもっとも多く使われている
ベニー・グッドマンの♪メモリーズ・オブ・ユー♪が
頭の中をぐるぐると流れだす。
橋の両サイドを人や犬が歩き、
中央をときおり車や自転車が音もなく通る。
橋の向こう側が中心部で
わたればそこには街の喧噪。
ビルの向こうからクラクションがいい感じに聞こえてきて、
ニューヨークにこんな小さな橋はないけれど、
お幸せにも
めためたNY気分になっている!

左岸から入る


橋の上で
妄想が妄想を呼んで多いに愉しんでしまいます。
いずれにしても
街中にぽっかり空いた穴のような静かな空間で、
行ったり来たりして、
川面に水鳥がいれば眺めたりして、
東の空に爪月があれば昔を振り返ったりして、
いると、
アッという間に小一時間も過ぎている。
えっ、ウソ、とつい腕時計を見ても
やはり過ぎてしまっている。
肩のまわりにはいつの間にか闇がおりて・・・
いつも不思議に思うんです、
こんなちょっぴりの空間にこんなに長くいられたことを。

薄く闇が

ということで
熊本でも飛びきり可愛い安巳橋を紹介しました。
ご来熊のおりはぜひお寄り下さい。


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肖像画を描いてもらった!

三が日明けの本日は外の最低気温マイナス4℃で始まりました。
南国なのにやたらと寒い熊本から
新年のご挨拶をもうしあげます。

正月休みのせいでお知らせが遅れてしまいましたが
先月の24日クリスマス・イヴの日に
新市街の橙書店で
エドツワキさんの「PORTRAIT SERVICE」が開かれ、
20人ばかりの申込者が順繰りに
エドくんの世界における自分のポートレイトを描いてもらいました。

エドくんの描く肖像画はかなり個性的です。
首の長〜い独特のフォルム、
陶器のような肌や髪。
イメージとしては
北国の森の中にひっそり暮らす絶世の美女(しかも若い!)。
だからですねえ、
エドくんとは動物園にご一緒したり、
果実ちゃんというコノハヅクを介して
フクロウ愛を確かめ合った仲でもあり、
私が東京を離れて以来の再会なので、
描いてもらうのも「あり」かな、とも思いましたが、
しかし、
そういうファンタスティックな世界にィ、
私のような背も首も短い者(しかもおばさん!)がァ、
いったいどういう了見で「描いて」って言えるかさぁ、
と我に返って、
当初は申し込みを見送っておったのです。

ところが急にキャンセルが出たという。
最後の一人に“空き”が出たという。
これってお告げ? かもしれぬし、
しからば「エイッ!」と、
清水飛び降り気概でもって申し込んでみました。



エドツワキ

エドツワキ 
1966年広島生まれ 
イラストレーター、アートディレクター、画家
(この写真、ピンボケに見えるのは、イベント当日彼の顔写真を撮り忘れ
 急遽リーフレットのプロフィール写真を転写したからで、お許しあれ)。


ユウタ神妙

橙書店内のドロウイング会場にて。
申込者のほとんどが女性(そりゃあそうだろう)という中で
勇気を出して描いてもらっている青年は
書店隣のカフェ・オレンジをときどき手伝うユウタくん。
オレンジ2階で絵の展覧会があると何かしら購入するという美術好き。



対面で

絵の具だらけの黒いエプロンを掛けたエドくん。
エプロンと
横に置かれた絵の具やドライヤーやその他の道具が
“靴磨きのおじさん”風情を醸し出して、
なかなか良き光景でした。
モデルさんに仕事や好きなことなどをあれこれ聞きながら
さらさらと筆は進みます。
いくら即興絵画とは言っても、
多少は相手のエッセンスを把握しておく必要はありますもんね。
ユウタくんはちょっと緊張気味。



輪郭が

おっ、ユウタが少しずつ現れてきました。
一人につきだいたい15分をめどに描くそうです。
描きやすい人描きにくい人は描いてみないとわからないらしい。
ユウタの顔は彫りが深くて特徴があるから描きやすいんじゃないかな。

エドくんがこのプロジェクト「PORTRAIT SERVICE」を始めたのは2010年。
日本各地を転々として、
一個所でだいたい20〜30人の
子供から老人まで(若い女性ばかりじゃないと聞いてひと安心)を描いて、
それが今では百枚以上になるそうです。
描き上がったポートレイトは
くるくる丸めてケースに収まりそのまま本人持ち帰り。
ゆえに記念にというか、確認のためにというか、証拠としてというか、
ポートレイトと本人のツーショットを撮り、
それを手元に置いているとのこと。
それはぜひぜひ近日中に、
写真展という形で
百数枚一挙に見たいものですねえ。

だって面白いンですよお、
ポートレイトと本人のツーショット。
この人がこうなるか! と、驚いたり感心したり笑ったり。
ホラ、これが私のポートレイトなのです!

ヨシモト分

そりゃあ
「20年、いえ30年前の私をイメージして描いてねッ」と頼みはしましたよ。
でもこんなに若くなるとは・・・。
本人もびっくりですが描いているエドくん自身が、
「あ、やばい、ユミさんがどんどん違っていく」と叫んだほどです。
これを胸にした証拠のツーショットはあるのです。
けれどあまりのギャップに正視できず、
もちろんここでもご披露できませんです。

でも、ポートレイトはいい記念になりました。
この頃は写真を取られるのがとても嫌で回避して、
顔写真近影というものがありません。
今度雑誌社から求められたら
このポートレイトを提出してみましょうか。
でも、相手の困惑を考えたら、
よした方が賢明でしょうねえ。

エドツワキ「PORTRAIT SERVICE」プロジェクトは
今年も計画されていますので、
ご自分もと思われる方はエドくんのホームページを覗いて下さい。

www.edtsuwaki.com  




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