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梅雨入り、今年も能古島へ

先週、およそ一年ぶりに
能古島の檀太郎・晴子さんのお宅へ行って来ました。

去年お邪魔したとき
晴子さんの“青梅ぽりぽりシロップ漬け”の美味しさにひっくり返り、
というとオーバーに聞こえるかもですが
青梅好きの私にとってそれは“青天の霹靂”的好みの味で、
ばりばり食べていると、
「だったら自分で作ってみれば? 来年の5月、梅もぎにいらっしゃいな」
と晴子さんおっしゃった。
それでこの1年の間、梅もぎシーズンを心待ちにしていたのです。
なのに5月はアッという間に過ぎ去りました。
6月では遅い、と晴子さんは言ってたなあ・・・と思うけれども、
しかしたまたま仕事があって5月は時間が取れず、
いつの間にか6月に入り、梅雨にも入っておりましたのです。
それで今年はダメか、とあきらめかけていたそのとき、
大分の竹細工作家、小代(おじろ)正さんから
「能古島へ一緒に行ってもらえませんか?」と誘われたのです。

このお誘いにはちょいとしたわけがあるのです。

5月半ばになりますが、
“おっちょこちょい”と“軽はずみ”と“先ばしり”
という三つの性格が絡み合って、
「太郎さんの葬式」という
落語のようなドタバタ騒ぎを起こしてしまったのです。

“おっちょこちょい”は小代さん。
ラジオから聞こえてきた「檀さんの追悼忌」という言葉に驚いて
ヨシモトまでメールを送った、
「檀さん、亡くなられたんですね」と。
仰天したのは“軽はずみ”のヨシモトで、
確認作業も忘れて檀家と交流の深い編集者弘由美子宛にメールを出す、
「小代さんがこう言ってきたけど知ってる!?」と。
それを受けた弘由美子は誰もが認める“先ばしり”人格。
確かめる手間ももどかしかったか、
瞬く間に新幹線に飛び乗って(しかも喪服で!)博多から能古島へ渡る。
その間友人知人にメールで訃報を知らせ続けなどして。

のんびりと畑作業に勤しんでいた太郎さん晴子さん、
いきなり喪服姿がやって来たんだからビックリしますよねえ。
真相解明ののちには大爆笑となるにしても、
後日京都の知人から(発注済みで取り消せなかった)お花が届いて
自分の枕花を見るという普通はなかなか出来ない体験をされて、
太郎さん晴子さん、どういう思いだったろうかと、
我々3人(小代・ヨシモト・弘由美子)深く反省させられました。

そもそもの原因は、
NHKの「ラジオ深夜便」を仕事明けの小代さんが、深夜か早朝、
夢うつつ状態で聴いていた点にあります。
小代さん曰く「頭がぼや〜〜っとしていた」らしいのです。
後日わかるのですが、
そのときの「ラジオ深夜便」は二夜続けて
太郎さん晴子さん夫妻のインタビューが組まれていて、
たまたまその放送日が
太郎さんのお父上、作家・檀一雄の「花逢忌」と重なっていたため
追悼式の情報も流していた・・・・・・
それを夢うつつの小代さんは太郎さんの葬儀と思い込み、
そこにヨシモトの“軽はずみ”がはずみを付け、
さらに弘さんの”先ばしり”が暴走してしまい・・・・・・。
こうなると小代さん一人のせいではなく、
であれば、
騒ぎに巻き込んでしまった太郎さんに「お詫びに伺う」のに
私が同行するのは当然至極。
それにもう遅いかも知れないけれど梅もぎしたくもあるのであり、
ではでは、能古島へご一緒に! 
ということになった次第なのです。

梅雨入りした九州でしたが6月半ばのこの日は快晴。
福岡・姪浜の能古島渡船所の待合室で小代さんの奥様、美穂さんと記念写真。
古い待合室ですがシートの色使いがきれいなのです。
前に来たときここで写真を取りたいと思っていたので念願叶う。
壁のポスターも頷けるし!!!

美穂さんと


小代夫妻。
正さんは檀さんにお会いするのを前にちょっと緊張した面持ち。
美穂さんはかつてこの近くに住んでいたと懐かしむことしきり。

おじろ夫妻



能古島に着いたらすごい風でした!
たった5分ほどの乗船ながら、
海を隔てて福岡と能古島の天候はかなり違います。
 
能古島フェリー



太郎さんが愛犬ネロと車で迎えに来てくれました。
「草刈りでも何でもさせてください」とお詫びを述べる小代さん。
「詫びなんてやめてよ。いいよ、いいよ、乗って、乗って」と太郎さん。
「ネロ久しぶり」と手から顔からメチャクチャに舐めてもらう。
島ならではのカーブ続きの細い道を上っていくと
山の中腹、右手に檀家のきれいな畑が見えてきました。
去年ここでいろいろな野菜を収穫したことを思い出します。
そのときは辺り一帯雑草がはびこっていたので
小代さんの草刈り力がぞんぶんに発揮できると思っていたのですが、
今年はさっぱりしていました。
どうやら数日前草刈りの手が入った様子。
「僕の出る幕ないですねー」と小代さん。
「でもそこらぢゅう俺んちだから草はいっぱいあるよ」と太郎さん。
「山だもんね、草はあるよ」と私。
草刈り草刈りと騒いでいますが、
ちなみに
小代さんはウチのヒメムカシヨモギ・ジャングルを
アッという間にお坊さんの頭のように
清々しく刈り上げたという腕前の持ち主なもので。

何せこんなだったのが・・・

草ぼーぼー



こんなにさっぱり!

さっぱり




再び能古島。
この日は晴子さんのお友達の鈴木良範さん、眞佐子さんご夫妻が逗留中で、
晴子さんの美味しいランチ(レタスとサンチュと紫玉ねぎのサラダ、
浅蜊のパスタ、ブロッコリのパスタ)をお相伴させていただきました。
食後のデザートは太郎さん肝いりの“白枇杷”。

白びわ



さらりと上品な味わいで、
野菜と果物、これらすべてが畑の贈り物であることが素晴らしい。
旧友の料理の腕前に満足そうに微笑まれている鈴木夫妻は
もう長いことミュンヘン住まいで、
ご主人がコントラバス、奥様がピアノを演奏される音楽家同士。
今回は2週間の休暇で日本国内を旅し、
その途中の能古島滞在であるとか。
チェロの上達について悩んでいる私は、
楽器のこと、練習法のことなどお聞きして思わぬ実りをいただくことに。

などしているともう3時近くで、
「君たち夕方になっちゃうぞ」と太郎さんが庭から叫びます。
慌てて「どこ刈りますか?」という小代さんに、
「草刈りはいいよ。それよか梅もいでよ」と太郎さん。
そして「昼過ぎに来て夕方帰るってんだもん、じゃ、いつ刈るんだよ。
草刈りは朝来てやんなきゃ」とぶつぶつ呟く。
ですよね! 私もそう思います! 反省!!
まず庭先でたわわに実っている豊後梅(青梅)から梅もぎ開始。
晴子さんは「もう遅い」と言うけれど、まだまだ青くて固そうじゃないですか!

青梅がたわわに



低いところは私担当、高いところは脚立に乗って小代さん担当。

高いところはおじろさん


アッという間にカゴいっぱいに。
このもぎカゴ、古くて至るところ紐で強化補正されていました。
「こういうカゴの新しいのを探しているんだけどいいのがない」と
太郎さん。思いがけず竹細工作家・小代正の出番到来!
「同じの作りますよ、作らせてください!」という固い約束が結ばれた。
 
青梅



そのあと「ほら、これ」と見せてくれたのがこの“梅割り器”。
梅の果肉と種を分けるときの専用道具で、
これでブチッと潰して種を取り出すそうだ。

梅わり器



それから太郎さん、
「やっちゃん!やっちゃん!」と下の畑で作業中だった業者さんを呼び寄せて、
2枚の木片、金具、大工道具を「頼んだよ」と差し出しました。

檀さんとやっちゃん



「何作るの?」と訊くと、
何言ってるんだい!という顔になって
「梅割り器を君に作ってあげるのッ」と太郎さん。
「エ〜ッ、そんなこと悪い〜。いいよ、いいよ」と恐縮すると
「青梅漬け作りたいんでしょ? これなしでどうやって青梅割る気?」と。
確かにそうです、おっしゃるとおりで・・・
自分、そこまで考えがまだまだ至っておりませなんだ。
お心遣い深く感謝申しあげます。

それで気になる“やっちゃん”ですが、
やっちゃんこと安河内正幸さんを単なる若い大工さんと見くびってはいけない。
聞けばやっちゃんは5年前、
風吹き渡る能古島の中腹、
景色に溶け込み気持ち良く佇むこの家を建てた建設会社の社長さんなのでした。
「ええーっ、その若さでこんないい感じの家を造れるんだぁ」と感心すると、
「もう大変でしたよ。何しろ僕にとっては初めての(家を建てるという)大仕事で、
1年間、庭の隅に建てた小屋に住み込んで必死でした。
太郎さんと晴子さんの要望をよく聞いて、とても勉強になりました」といい笑顔。
太郎さんが好きで集めていた木材がふんだんにあり、
それも幸運だったと言います。
「丸太から家造りをするという経験はなかなかないことですからね」。
晴子さんから聞いた話では、
この家を造った後、やっちゃんのもとに大きな仕事が舞い込み始めたとか。
腕を認められたということですね。

私もこの“檀さんの家”は大好きです。
まだたった2回の訪問ですが、
いたるところにさまざまな魅力を感じています。
まず、なんたって居心地がいい。
太郎さんと晴子さんの生き方考え方をやっちゃんが一生懸命形にして、
家にも哲学が必要なことを教えてくれている気がします。

ホオノキ(下駄によく使われる木材)に以前からある梅割り器をあてて
形を取るやっちゃん。

ほうの板が用意されて



機械で大まかに削って・・・ 

削り作業



あとは手作業。ホオノキは加工しやすい木材とか。

取っ手を



アッという間に出来上がり。さすがに丁寧な仕事です。
これをいただくなんて何たる贅沢!

できあがり



梅割り器を造り上げたやっちゃんは
中断していた”下の畑に降りる階段造り”作業に戻っていきました。
急激な坂に14枚の木材で階段を造るのです。
これで安心して降りていける。
石じゃなく木材ってところがいいですね。
しかもこれ、
ただの板じゃなく、古くなった線路の枕木。
いい感じですね。

階段作りに


さて、その間、小代さんは南高梅の梅もぎにも挑戦していました。
お〜、ほどよく色づいていますね−。
 
南高梅もたわわに


古木で曲がりくねった枝走りゆえ、脚立より登りを選んだ小代さん。
巨木なのです



マジな顔で枝先を見る。落ちないでくださいましね。

おじろさん奮闘


これが本日の収穫です。
豊後梅も南高梅も
まだまだ実は付いているけれど、これ以上は持って帰れません。
すでにダンボール箱2つ分あり。
収穫物を眺めるときって、本当に心満たされます。

収穫



腕組みして見とれていると、突然向こうから黒い弾丸が!

ニュッと黒いのが




驚いてカメラを回したら妙な顔。

ぼやっと



お、やっとネロらしい、いい顔に。
今回も優しくしてくれてありがとう。

ネロ


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